近代野球では、先発・中継ぎ・セットアッパー・抑え(クローザー)のように、投手としての役割が分業制になってきました。先発が6~7回まで試合を作り、8回をセットアッパー、9回を抑え(クローザー)で締めくくるのが一般的な継投策でもあります。
先発投手が9回まで完投するのが「正義」であり、完投するのが当たり前となっている日本では、まだまだ、馴染みが薄い継投戦略の「オープナー」。メジャーリーグでは、この「オープナー」を採用して勝利を積み重ねているチームもあります。
そこで、野球で投手の継投戦略である「オープナー」について、メリットやデメリットも交えて解説します。
オープナーを継投戦略として採用する理由
まず、「オープナー」を継投戦略として採用する前に、野球でどのイニングが一番失点率が高いかを考えてみます。答えは、統計上失点率が一番高いのは初回です。次に、5~6回が失点率が高いです。
なぜ、初回が失点率が高いのかを考えると、相手打順が上位打線から始まるという事もあります。また、先発する投手は、ある程度長いイニングを投げないといけなく、いくら上位打線であっても初回から全力投球をしにくいという事が考えられます。
そこで、この失点率が高い初回を力のある救援投手が、1イニング限定に近い形で最初に投げる事を「オープナー」と言います。元々、救援投手は1イニング限定で全力で投げる事も多く、本来の力を発揮したら、一番失点率が高い初回を無失点で抑えてくれる確率が高い継投戦略になります。
その後を受けて、先発投手が長いイニングを投げてくれると、この「オープナー」を用いた継投戦略は成功したと言えます。
対戦打者が3周りすると被打率が高くなる
投手が一人の打者と対戦する度に、被打率が高くなっていきます。特に対戦する投手の投球に慣れてくる3周り目を迎えると、極端に対戦打者の打率が高くなる傾向になります。
「オープナー」を戦略として用いると、その後を受けた先発投手は、力のある上位打線との打席数を遅らせる事が出来るようになります。
先発投手がコマ不足のための継投策でもある
元々、この「オープナー」という戦略を用いてシーズンを初めて戦ったのは、2018年にメジャーリーグのレイズです。
シーズンオフに主力投手が抜けて、先発投手のコマ不足からこの「オープナー」という戦略を用いて、当初苦戦を予想されていましたが、シーズン最終成績を90勝72敗と大きく勝ち越す結果となりました。
オープナーを用いるメリット・デメリット
継投戦略として「オープナー」を用いる事には、もちろんメリット・デメリットがあります。
メリット
- 力のある中継ぎが投げる事で、失点率の高い初回の失点率を下げる事が出来る
- 相手の上位打線を抑えれば、その後に投げる先発投手が上位打線との対戦を減らせる事で、被打率を抑える事が出来る
デメリット
- オープナーと務めた投手への評価基準が無い(通常なら、勝利数・ホールド・セーブなどが記録されたりしますが、負け数しか記録されない)
- オープナーが打ち込まれた後の継投のやり繰りが難しい。
まとめ
日本のプロ野球では、まだまだ馴染みが薄い「オープナー」。先発投手がコマ不足の場合には、論理的に考えると継投戦略としては、非常に有効な継投方法ではあります。
しかし、オープナーを務めた投手の評価基準の記録が残らなかったり、その投手が打ち込まれた場合には、継投のやり繰りが難しくなるケースも考えられます。
ただし、投手の分業制が当たり前になってきたからこそ、中継ぎとして優秀な投手を多く用意して、先発投手のコマ不足を補う「オープナー」を用いるチームが出てきても非常に面白く感じます。
更新日:2021/03/24
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