色々あるスポーツの中でも野球のルールはかなり複雑なところがあります。
実際にその場面に遭遇して初めて「そんなルールあったんだ」というような事も。
そこで、こんなケースはどうなるのか?また、こんな時はルール上どうなっているのかを調べていきます。
まずは、珍事としての第1弾「ホームランを打ったバッターに代走を出せるのか?」という疑問について調べてみました。
ホームランを打ったバッターに代走を出せるのか?
ホームランを打ったバッターに代走?と思うかもしれませんが、考えてみるとよくわかります。
バッターはホームランを確信したら、ゆっくりとベースを回っていきますが、ライナー性の打球を打った場合には全力で次の塁を目指して走ります。
もし、その全力で走っている時にアキレス腱が切れたり、肉離れを起こしてしまったりしたら、そこからホームまで生還するのは困難になってきます。
そこで、打球がスタンドまで入ってホームランになった場合にこのようなケースになったら、ホームランを打ったバッターは足を引きずりながら、もしくは、地面を這ってでもホームに返らないといけないのかという事です。
ホームランバッターに代走を送れる
プレイングフィールドの外への本塁打、死球の場合のように、一個またはそれ以上の安全進塁権が認められた場合、走者が不慮の事故のために、その安全進塁権を行使することができなくなったときは、その場から補欠に代走させることができる。
引用:野球規則五・一〇(C)の付記
以上のように野球規則として定められています。この場合、ホームランを打ったバッターには安全進塁権が与えたられおり、不慮の事故により安全進塁権を行使出来なくなった場合に、そのバッターの代わりに代走を送れるとなります。
よって、ホームランを打ったバッターに代走を送れるとなります。
ちなみに、野球には「ボールインプレイとボールデッドの状態」がありますが、フィールド外に打球が飛び出すホームランを打つと、ボールデッドの状態になります。
プロ野球での例
実際にこのような事がプロ野球でも2度程ありました。
1969年(昭和44年)ホームラン後ジムタイルがベース手前で肉離れ
大リーグ、オリオールズの元4番打者の豪快なアーチに西宮球場の観客席からはため息が漏れた。観客も両軍ベンチも審判も「あっ」と声を上げたのはその直後だった。視線の先では一塁ベース約5メートル手前で左足を押さえうずくまっているジムタイルがいた。
心配そうに集まった近鉄ナインだったが、やがて三塁側ベンチに向かって「担架、担架持って来い」と選手の1人が大声を上げた。情けない話だが、ベースを踏む前に左足ふくらはぎに肉離れを起こし、それ以上走れなくなってしまったのだ。
近鉄・三原脩監督は、代走に伊勢孝夫内野手を指名。伊勢はジムタイルが倒れた場所から走り、ホームを踏んだ。公式記録では本塁打と打点はジムタイルに、得点は伊勢に付いた。
1969年と結構前になりますが、近鉄のジムタイルがホームランを打った後左足ふくらはぎに肉離れを起こして、それ以上走るのが困難という事で代走を送られました。
また、公式記録では本塁打はジムタイルに記録され、通常得点も本塁打の場合はホームランを打ったバッターに記録されますが、代走に得点が記録されるという珍事に。
1991年(平成3年)サヨナラホームランで彦野に代走
強烈な弾丸ライナーが左翼を襲った。吸い込まれるようにナゴヤ球場のフェンスをギリギリの高さで越えた打球は、そのままスタンドに突き刺さった。
延長10回、中日の5番彦野利勝中堅手が大洋・盛田幸妃投手から放った3号本塁打は、4時間12分の試合に終止符を打つサヨナラ弾となった。
一塁ベースを回ったところで、彦野が右のひざ辺りを押さえながら悶絶していた。悠々とダイヤモンドを一周しているはずの選手が、走るどころか立ち上がることさえできずに悲鳴を上げていた。
状況を確認した平光清球審は彦野がこれ以上走ることができないと判断し、星野監督に代走を要請、山口幸司外野手が指名された。
プロ野球史上2回目のホームランバッターに代走が送られた場面。そして、驚くことにこの代走を送られた場面が、中日の勝利を決定づけるサヨナラホームランの場面でした。
サヨナラホームランを打ったバッターに代走が送られたのは、プロ野球史上初の出来事でした。
まとめ
ホームランを打ったバッターに代走を送る事が出来るのか?に対する回答は、「代走を送る事が出来る」でした。ただし、「安全進塁権が認められた場面で、バッターランナーが不慮の事故のために、その安全進塁権を行使することが出来なくなった時」となります。
無条件でホームランバッターに代走を送れるわけでは無いって事です。まあ、普通、ホームランを打ったバッターに代走を送る事は無いですね。(笑)
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